構造コラム第33回「木材の規格と等級 その2-知らないと話にならない製材の規格と等級-」

今日、私たちは設計において特に意識することなく、規格化された製材品を使用しています。

しかし、その規格がどのような区分となっているのかについては、あまり知られていません。
今回は前回に引き続き、木材の規格と等級についてご紹介します。

現在、市場に流通している木材は、『農林物資の規格化および品質表示に関する法律(JAS法)』に基づき、JASで定める標準寸法に従って製材されています。

構造上での性能を評価する場合は、『集成材』であるか、『製材』であるかの大きく二つに分類することができます。

今回は、『製材』についてご紹介します。

ここでの製材とは、【森から原木を樹種や必要とする部材に合わせて木取りをして鋸引きしたもの】を指します。

こちらは、規格として下記の【3つの特徴】に従って分類されています。

①目視で判断したものであるか、機械で判断したものであるか
 まず、人が目視で判断したものであるか、機械が判断したものであるかで製材は区分されています。

 ●目視等級区分製材:人の目視による区分。
 ●機会等級区分製材:機械によりヤング係数を測定し、製材の強度をE50~E150の6つの等級 に区分。

②使用部位 <目視等級区分製材>
 目視等級製材は、さらに使用部位ごとに2種類に区分されています。

 ●甲種構造材:梁や桁などの主として【曲げ性能】を必要とする部分に利用。
 ●乙種構造材:柱や間柱など主として【圧縮性能】を必要とする部分に利用。

③木口の断面寸法 <甲種構造材>
 甲種構造材は、さらに木口の断面寸法により2種類に区分されています。

 ●構造用Ⅰ:主に板状と棒状の製材が対象。
        <大きさの条件>:○木口の短辺が36㎜未満
                 ○木口の短辺が36㎜以上+木口の長辺が90㎜未満
 ●構造用Ⅱ:主に厚板状と角状の製材が対象。
        <大きさの条件>:○木口の短辺が36㎜以上+木口の長辺が90㎜以上

いかがでしたでしょうか。
ひとくちに製材と言っても、様々な分類があります。
製材の場合、この分類に加えて【無等級材】が存在します。もっとも安価ですが、強度のばらつきが大きいため注意が必要です。
構造設計者としては、このような材料に対する理解に基づき、建物に応じて材料を選択し、安全性・経済性に見合った設計を行っていく必要があります。

参考文献:新・木のデザイン図鑑 2009年6月12日発行

構造コラム第32回「木材の規格と等級 その1-知らないと話にならない集成材の規格と等級-」

今日、私たちは設計において特に意識することなく、規格化された製材品を使用しています。

しかし、その規格がどのような区分となっているのかについては、あまり知られていません。
今回と次回は、木材の規格と等級についてご紹介します。

現在、市場に流通している木材は、『農林物資の規格化および品質表示に関する法律(JAS法)』に基づき、JASで定める標準寸法に従って製材されています。

構造上での性能を評価する場合は、『集成材』であるか、『製材』であるかの大きく二つに分類することができます。

今回は、『集成材』についてご紹介します。

集成材は、人工乾燥でよく乾燥させて欠点を取り除いたラミナ板を木目に沿って、長さ・幅・厚さの方向に接着剤で集成接着した建築材料を指します。
近年では、機械プレカットの普及により需要が一挙に増加しています。

規格としては、下記の【4つの特徴】に従って分類されています。

①断面の大きさ
 断面の大きさにより、大断面・中断面・小断面の3つに区分されます。

 ●大断面:短辺が15㎝以上、断面積が300㎝2以上のもの
 ●中断面:短辺が7.5cm以上、長辺が15㎝以上のものであって大断面集成材以外のもの
 ●小断面:短辺が7.5cm以上、長辺が15㎝未満のもの

②ラミナ板の構成
 集成材とは、ラミナ板を重ねたものですが、その板をどのように重ねるかで品質が異なってきます。

 ● 【同一等級構成集成材】 : 主に柱として利用。 同じ品質のラミナを重ねたもの。
 ●【異等級構成集成材】: 主に梁として利用。 外側の層ほど強度の強いラミナ板を重ねたもの。
また、構成の仕方により【対称構成・非対称構成・特殊構成】に区分。

③E○○-F○○
 強度等級として、【E(ヤング係数)】と【F(曲げ強さ)】で区分して表記します。
 一般にヤング係数Eと曲げ強さFは相関関係にあります。

 ●例:E105-F300 →一般にEが大きいほど変形しにくく、Fが大きいほど強度が大きい。

④使用環境
 集成材の使用する環境に応じて接着剤の要求性能の程度を示す【使用環境A、 B、 C】の区分があります

 ●使用環境A:屋外での利用。高度な耐水性・耐候性・耐熱性が要求される環境
 ●使用環境B:屋内での利用。構造物の火災時において高度な接着性能が要求される環境
 ●使用環境C:屋内での利用。

いかがでしたでしょうか。
一口に集成材といっても、断面の大きさ・ラミナ板の構成・強度・使用環境により様々な規格があります。
もちろん要求性能が高ければ高いほど、高価な材料となります。
私たち構造設計者は、材料に対する深い理解に基づき、建物に必要な性能を見極め、材料を選択していく必要があります。

参考URL:日本集成材工業協同組合<http://www.syuseizai.com/home>

構造コラム第14回「4号特例(平屋or2階建ての木造住宅)の基礎の設計について」

コラム第12回でもご案内したとおり、4号申請の建物でも安全性の確認は必要です。
また、上家については壁量計算や許容応力度計算などで安全性の確認ができることもわかりました。

基礎部分(基礎梁・直接基礎)の安全確認はどうでしょうか。
許容応力度計算では、上家から基礎部分まで一連で安全性の確認を行います。

また、耐震等級○・耐風等級○取得や等級○相当の設計のご依頼もあります。
その場合、上家を設計する地震・風の力が1.25倍ないし1.5倍となります。
上家が1.25倍ないし1.5倍の地震・風の力に耐えられても、それに見合った基礎を用意しないと意味がありませんので、基礎も1.25倍ないし1.5倍の力で設計します。

これを 上家→『耐震等級2(=1.25倍)』で設計,基礎→『等級なし(=1.0倍)』での設計の状態から考えてみたいと思います。
イメージしやすく『重さ125kgの荷物』と『持てる重さが100kgまでのAさん』と置き換えます。

Aさんは100kgまでしか持てないので、荷物を100kgまで減らしてしまいます。
折角、等級2の上家=荷物を用意したのに、等級なしの基礎=Aさんでは十分に持ち上げられません。
これでは建物全体として、等級無しの建物となってしまいます。

Aさんがトレーニングをして、『持てる重さが125kgまでのAさん』となれば、等級2の上家,等級2の基礎なので、建物全体として等級2の建物が出来上がります。

『構造設計をすると基礎が大きくなる』というお話も聞いたことがありますが、このあたりの事の話なのではないでしょうか。

2016年は熊本地震もあり、住宅の地震に対する安全性の関心が高まっていると思います。
お施主様のご要望に合わせた設計手法のご依頼をお願いいたします。

構造コラム第7回「木造の構造計画(梁・床編)」

第3回の耐力壁編に引き続き、木造物件のお見積時に意匠事務所様に
プランの調整をお願いすることが多い項目をご紹介します。
今回は梁などの架構や、床の水平構面に関することです。

○梁材
長さ>6m、梁せい>450の梁材は、通常は特注品となります。
施工会社・プレカット工場によって入手状況や機械加工が可能かどうかなどが異なります。

○梁せい
以下のような場合は梁せいが大きくなります。
①スパンの長い梁、多くの梁が架かっていて負担荷重が大きい梁
②オーバーハング部分の片持ち梁
③梁上に耐力壁が載る(耐力壁下に柱が無い)場合
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○床水平構面
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床は自重や積載荷重を支えるだけではなく、
地震力や風圧力などの水平力を耐力壁に伝達する役割があります。
耐力壁配置のバランスが悪い時には特に、床で伝達しなければならない水平力が大きくなります。

○吹抜け
火打ち・キャットウォークの設置ができない場合は、ゾーニングでの検討を行い、
A・Bそれぞれでバランスよく耐力壁を確保する必要があります。
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○スキップフロア
床段差(H)が梁せい以内の場合は一体の建物として検討できます。
(長期優良住宅の場合は扱いが異なります)
梁せいを超える場合は、スキップフロアとしてゾーニングでの検討を行い、
A・Bそれぞれでバランスよく耐力壁を確保する必要があります。
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第3回コラムと併せて、木造の計画の参考にしていただければと思います。
お見積りご依頼の際に、プランについて気になることがございましたらご相談ください。

参考:
『木質構造基礎理論』日本建築学会 編
『世界で一番くわしい木構造』山部豊彦 著

2016,11

構造コラム第6回「片持ち床」

今回は、バルコニーなどになる片持ち床の、一般的な作り方になります。

 
●木造の場合
・一方向に持ち出す場合
図①の様に下階に柱がある梁を持ち出して床を作ります。

・二方向に持ち出す場合
図②の様に下階に柱がある赤い梁を2段目(下段)で持ち出すとともに、直交方向の梁も持ち出します。

※概ね、持ち出した長さの2倍程度の長さの受梁が、持ち出さない側に必要です。
※持ち出し梁を一般的な材種・梁成とする場合は、持ち出し長さ910~1365程度が
目安になります。
※持出長さが長くなる場合は、梁成UP,材種UPが必要になります。
※赤い梁の右側に柱がない場合は、赤い梁と同レベルに梁を入れ赤い梁を支持します。

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●鉄骨造の場合
・一方向に持ち出す場合
図③の様に、柱・梁に片持ちを溶接+先端に梁を取り付けて、デッキプレートなどの床材を支持します。

・二方向に持ち出す場合
図④の様に、柱に片持ち梁を増やし片持ち梁先端へさらに片持ち梁を溶接します。

※片持ち梁には、受梁が必要です。
※持ち出し長さの目安は、2m程度になります。

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●鉄筋コンクリート造の場合
・一方向に持ち出す場合
図⑤の様に、持ち出し長さが2m以下ですと、片持ちスラブだけも可能になります。

・二方向に持ち出す場合
図⑥の様に、出隅部の片持ちスラブを支えるために、柱に片持ち梁が必要です。
この時も、持ち出し長さは2m以下とお考え下さい。

※片持ち梁には、受梁が必要です。
※どちらの場合でも、2m超となる際は片持ち梁などを設け安全性に配慮します。
(鉄骨造と同様の形状になります)
※仮に、2m超を片持ちスラブだけで作る場合は、スラブが厚くなります。

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ここまで見てきたように、片持ち部は通常の床を作るよりも梁材が必要になります。
また、片持ち長さが2m以上となりますと、上下方向の揺れを考慮して
荷重の割り増しが必要になります。
 
片持ち床周辺の懐には、十分な余裕の確保をお願いいたします。

構造コラム第3回「木造の構造計画(耐力壁編)」

弊社では、構造設計のお見積りのご依頼をいただいた際に、
構造上気になる点があればお伝えしています。
一般的な木造在来軸組のプランについては簡易な壁量チェックを行い
現状のプランで通常の許容応力度設計が可能な壁量が確保されているか確認しています。

木造物件のお見積時に意匠事務所様にプランの調整をお願いすることが多い項目をご紹介します。
今回は耐力壁に関することです。
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構造コラム第2回「建物規模と設計ルート」

今回は、建物規模と設計ルートについてです。
まずは、建物規模と採用できる設計ルートの区分になります。

 

○ルート1
強度型:建物を変形しにくくして、地震に対して耐える ≒ 満員電車の中で踏ん張るイメージ

木造
建物高さ≦13m,軒の高さ≦9m

S造
建物高さ≦13m,軒の高さ≦9m,
+柱スパン≦6m,階数≦3,延べ面積≦500㎡ → ルート1ー1
+柱スパン≦12m,階数≦2,面積≦500㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15) → ルート1ー2
+柱スパン≦12m,階数≦1,面積≦3000㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15) → ルート1ー2

RC造(*1)
建物高さ≦20m,規定量の耐震壁(*2)がある

 

○ルート2
S造
建物高さ≦31m,塔状比≦4,平面・立面的バランスが良い(偏心率≦0.15・剛性率≧0.6)

RC造(*1)
建物高さ≦20m,塔状比≦4,平面・立面的バランスが良い(偏心率≦0.15・剛性率≧0.6)
規定量の耐震壁(*2)がある(耐震壁の量により、ルート2-1とルート2-2の2つがあります)

 

○ルート3(保有水平耐力計算)
靱性型:建物の変形能力を大きくして地震力を受け流す ≒ 満員電車の中で周囲と一緒に揺られるイメージ

S造・RC造(*1)
建物高さ≦60m

 

*1:RC造について
柱梁でフレームを組むラーメン架構について記載しています。

*2:規定量の耐震壁について
採用する設計ルートにより必要となる耐震壁の規定量は違います。
耐震壁の必要壁量は、多いほうから順に ルート1>ルート2-1>ルート2-2 となります。

 

各材料の特徴や想定される建物用途を勘案して、採用できる設計ルートが設定されています。
その設計ルートにより設計期間や躯体数量、確認取得までの期間も変わってきます。

また、建物規模ではルート1が採用できる場合でも
プラン等によっては上位の設計方法であるルート2やルート3を採用する場合もあります。

今回の建物規模と設計ルートは、これから計画する上での参考材料としていただけたら幸いです。