こんにちは!擁壁構造計算書のECサイト「StructureBank-工作物」の建築構造用語集 編集部です。今回は「高さ方向の地震層せん断係数の分布係数」とは何かを解説します。
積雪荷重は長期に生ずる力か?
前回は、積雪荷重の具体的な数値の計算方法や考え方について解説しました。(解説はこちら)
今回は、その算出した積雪荷重を他の力とどのように組み合わせて考えるべきかを解説します。


ズバリ問題じゃ!「積雪荷重は長期に生ずる力」かどうか!どちらだと思う?

雪ってすぐ溶けるから「長期に生ずる力ではない」!じゃないかしら!?

半分正解じゃな。普段から雪が降らない地域であれば、すぐに溶けるから長期の力ではなくなるの。

だったら雪がたくさん降る「多雪区域」では長期に生ずる力と見なすってこと?

多雪地域の場合は積雪荷重を0.7倍した値を加算するのじゃ

ちょっと減らすのね…
力の種類 | 一般の場合 | 多雪区域の場合 |
---|---|---|
長期に生ずる力 (積雪時) | 固定荷重+積載荷重(積雪荷重なし) | 固定荷重+積載荷重+積雪荷重 × 0.7 |
基本的に積雪は長期荷重として加算しませんが、多雪区域に限りその0.7倍を加算します。なぜ0.7倍なのかは、実は明確な根拠はないようです…。ただ、長期の場合は少し緩和されるというイメージで覚えるといいでしょう。
短期に生ずる力と積雪荷重の組み合わせ

積雪荷重は短期に生ずる力かの?

いや、ここで加算しなかったらそもそも積雪荷重の意味がないでしょ!
バカにしないで💢
力の種類 | 一般の場合 | 多雪区域の場合 |
---|---|---|
短期に生ずる力 (積雪時) | 固定荷重+積載荷重+積雪荷重 | 固定荷重+積載荷重+積雪荷重 |
積雪時の短期に生ずる力を計算する際は、一般の場合と多雪区域に関わらず加算します。
地震時・暴風時の積雪荷重の組み合わせ
短期に生ずる力を考える際には、積雪荷重は他の力とどの様に組み合わせれば良いのでしょうか?

短期に生ずる力と言えば、他にどんな力があったかの?

地震力と風圧力があったわね!
力の種類 | 一般の場合 |
---|---|
短期に生ずる力 (暴風時) | 固定荷重+積載荷重+風圧力 |
短期に生ずる力 (地震時) | 固定荷重+積載荷重+地震力 |

一般の地域なら当然、積雪荷重を加算したりはしないわね。
雪降ってる時に大地震が来たり暴風が来たりする可能性は低いものね。

では「多雪区域」の場合はどうなるかの?

「多雪区域」なら雪が積もっている時に大地震がきたり暴風がきたりする可能性はあるわね
多雪区域の場合、風圧力・地震力との組み合わせは以下の表の通りです。
力の種類 | 多雪区域の場合 | 補足 |
---|---|---|
短期に生ずる力 (暴風時) | 固定荷重+積載荷重+風圧力+積雪荷重×0.35 | |
固定荷重+積載荷重+風圧力(積雪荷重なし) | ※暴風時は積雪荷重を加える場合と 加えない場合の両方を検討する | |
短期に生ずる力 (地震時) | 固定荷重+積載荷重+地震力+積雪荷重×0.35 |

積雪荷重を0.35倍したものを加えるんじゃな!

0.7の半分って覚えれば覚えやすいわね!長期荷重よりもっと緩和されるのね
暴風時や地震時の力を検討する際に、「多雪区域」では積雪荷重の0.35倍した値を加算します。

ちなみに暴風時に積雪荷重を加える場合と加えない場合の両方を検討するのはなんでなの?
力は大きく加えた方が安全側になるんじゃないの?

そうとも限らないぞ!例えば、風による引き抜き力を考える時は、下向きの力を小さく見積もった方が安全側になるぞ!

下向きの力を小さくする方が安全側にはたらくこともあるのね!

同じ理由で積載荷重を減らした値で検討する場合もあるぞ!
まとめ
力の種類 | 一般の場合 | 多雪区域の場合 |
---|---|---|
長期に生ずる力 (積雪時) | 固定荷重+積載荷重(積雪荷重なし) | 固定荷重+積載荷重+積雪荷重 × 0.7 |
力の種類 | 一般の場合 | 多雪区域の場合 | 補足 |
---|---|---|---|
短期に生ずる力 (積雪時) | 固定荷重+積載荷重+積雪荷重 | 固定荷重+積載荷重+積雪荷重 | |
短期に生ずる力 (暴風時) | 固定荷重+積載荷重+風圧力 | 固定荷重+積載荷重+風圧力+積雪荷重×0.35 | |
固定荷重+積載荷重+風圧力(積雪荷重なし) | ※暴風時は積雪荷重を加える場合と 加えない場合の両方を検討する | ||
短期に生ずる力 (地震時) | 固定荷重+積載荷重+地震力 | 固定荷重+積載荷重+地震力+積雪荷重×0.35 |
- 「多雪区域」の長期荷重は積雪荷重の0.7倍を加える
- 「多雪区域」の短期の地震時・暴風時は地震力・風圧力に積雪荷重の0.35倍を加える

ややこしいけどこれでバッチリね!
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