構造コラム第11回「建物も人も粘り強く」

構造設計をしていると、「脆性的(ぜいせいてき)」という言葉を耳にします。
あまり聞きなれない言葉ですが、脆い(もろい)という意味です。

構造設計では、建物が脆性的な壊れ方をせず
粘り強く地震に耐えられるような設計をします。

「建物が脆性的だとどうしてダメなの?」「粘り強く耐える?」
そんな人のために、ある例で解説しましょう。

力自慢のAさんとBさんとCさんがいます。
Bさんは軽量級で2tの重さまで支えられます。
AさんとCさんは重量級なので4tまで支えられます。

ちなみにBさんには双子のB’さんがいますが
2人は性格が全く異なります。
Bさんはすぐ諦めてしまい、2tの荷重がかかるとすぐに倒れてしまいます。
一方B’さんはとても辛抱強い性格です。
ですからずっと2tまでは支え続けることができます。

これからAさんBさんCさんと、AさんB’さんCさんのそれぞれに分かれて
体重1tの象を支えてもらいます。
2グループでどのような違いが出るか注目です。

まずは象を3頭支えてもらいましょう。
荷重は3人均等にそれぞれ1tかかります。
BさんとB’さんはまだまだ余裕です。

余裕そうなので思い切って象を9頭に増やします。

均等に荷重がかかると、一人あたり3tかかる計算です。
Bさんのグループでは、案の定Bさんが諦めてしまいました。
するとAさんとCさんは9tの荷重を二人で支えなければなりません。

二人は4tまでしか支えられないので、たちまち二人も倒れてしまいます。
これが実際の建物だと「倒壊」です。

一方B’さんのグループでは、B’さんは2tまで諦めずに支えています。
つまりAさんとCさんは残りの3.5tを支えればいいのです。

支えられる最大の荷重は同じでも
最後まで諦めず3人で協力すれば支えることができるのです。

これを構造分野では「協同効果」といいます。

現実の建物においても、柱や梁に粘り強さが求められます。
このような性質を「靱性(じんせい)」と呼び、協同効果を発揮する大事な要因になるのです。

辛抱強く耐えていれば、きっと誰かが助けてくれるということですね。
人間も同じではありませんか。