構造コラム第15回「弾性と塑性」

この世に存在する物体は、力を加えれば必ず変形します。肉眼ではわからないですが、ダイヤモンドのようなすごく硬い物でも、力を加えれば変形します。

ばねをイメージしてみましょう。

ばねの硬さはいろいろあれど、引っ張ればその分伸び、離せば元の長さに戻ります。
このような性質を「弾性(だんせい)」とよびます。

もっと力を加えてもっと引っ張ってみましょう。
するとある変化が起こります。

ある瞬間から、力を一定にしても伸び続けるようになりました。
このような性質を「塑性(そせい)」とよびます。
いったん塑性すると、力を除いても変形が残ってしまいます。
これを「塑性ひずみ」といいます。

建築で使う材料も、例外なくこれらの性質を持っています。
鉄骨の骨組みや鉄筋に使う「鋼」の性質をみてみましょう。鋼は少し複雑です。

弾性から塑性へ変化することを「降伏(こうふく)」といい、この点を降伏点とよびます。
まさに鋼が降参した状態ですね。
そこから紆余曲折を経て破断に至ります。
実は、塑性すると断面が細くなるので、実際はこのようなグラフにはなりません(真応力-真ひずみ)が、構造設計の実務で使うことはほとんどないのでここでの説明は割愛します。

構造設計では、「震度4~5弱の地震に対して柱や梁を弾性の範囲内に、震度6強では部分的に塑性させても良いが、建物を倒壊させてはならない」ということを目標に設計します。

構造設計者は、使用する材料の特性を熟知し、適材適所に設計することが大切です。