構造コラム第19回「RC造ラーメンの耐震壁について」

RC造ラーメン架構の耐震要素として、耐震壁があります。

どのようなRC造の壁も耐震壁となるのかと言うと違います。

耐震壁とできる壁の条件は、下記になります。

 

 

しかし、実際には採光などの問題で、RC造の壁に開口を設ける場合があります。

開口(1つまたは2つ)を開けた場合に耐震壁とできるかの条件は、下記になります。

 

 

開口の面積や位置によって、耐震壁にできる場合とできない場合があることがわかります。

 

また、耐震壁の構造設計を行う際に、√(A0/A),L0/L,H0/Hの3つの割合に基づき、耐震壁の剛性や耐力を低減させます。

 

低減という言葉からわかるように、耐震壁からすると開口=欠損となってしまいます。

 

同じ階の同じような耐震壁でも厚さや配筋が違ったりするのは、この低減による場合もあるのです。

 

せっかく壁を計画しているのですから、耐震壁として有効に活用したいものです。

構造コラム第18回「コンクリートのせん断ひび割れ」

現在の日本では、建築物の構造体に使われる材料は木・鋼・コンクリートが主流になっています。その中でもコンクリートは、鉄筋コンクリート造はもとより木造や鉄骨造の基礎にも使用され、最も多く使用される構造材料と言えるでしょう。

 

今回はそのようなコンクリートの性質についてご紹介します。

 

コンクリートはひび割れしやすく、乾燥収縮やクリープ荷重(長期的にかかる荷重から瞬間的にかかる荷重を引いたもの)で簡単にひび割れてしまいます。補修管理を怠ると、鉄筋が錆びたりコンクリート片が落下して重大な事故につながりかねません。

 

力学的には圧縮に強く、引張に弱いという特徴があります。引張力を受けると途端に割れてしまうため、構造計算ではコンクリートが引張に耐えることには期待しません。

さらにもうひとつ、力のかかり方に「せん断力」という力があります。この力は物を二つに分断しようとする力で、はさみで紙を切ることができるのは、紙にせん断力がはたらくからです。このせん断力とコンクリートの関係について詳説しましょう。

 

このようなモデルを考えてみましょう。

コンクリートには両端にせん断力がかかります。

せん断力がかかっている部分を細かく観察すると、斜め方向に引張力が作用しています。この力を「斜張力」といいます。先ほど述べたように、コンクリートは引張に弱いので、この斜張力と直交にひび割れが生じてしまいます。このひび割れを「せん断ひび割れ」と呼びます。

 

実際の建物では、このような形状をよく見かけます。

構造体の長さが短くなると、せん断破壊が起こりやすいという性質があり、この場合壁がない柱の部分にせん断力が集中してしまいます。すると

このように柱にせん断ひび割れが生じ、さらに力が加わるとせん断破壊が起こります。せん断破壊はとても脆い(ガラスのような壊れ方をする)性質があり、大変危険です。もちろん構造設計ではこのような破壊が生じないように設計しますが、地震の際、このようなひび割れを見つけた時は要注意ですね。

構造コラム第6回「片持ち床」

今回は、バルコニーなどになる片持ち床の、一般的な作り方になります。

 
●木造の場合
・一方向に持ち出す場合
図①の様に下階に柱がある梁を持ち出して床を作ります。

・二方向に持ち出す場合
図②の様に下階に柱がある赤い梁を2段目(下段)で持ち出すとともに、直交方向の梁も持ち出します。

※概ね、持ち出した長さの2倍程度の長さの受梁が、持ち出さない側に必要です。
※持ち出し梁を一般的な材種・梁成とする場合は、持ち出し長さ910~1365程度が
目安になります。
※持出長さが長くなる場合は、梁成UP,材種UPが必要になります。
※赤い梁の右側に柱がない場合は、赤い梁と同レベルに梁を入れ赤い梁を支持します。

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●鉄骨造の場合
・一方向に持ち出す場合
図③の様に、柱・梁に片持ちを溶接+先端に梁を取り付けて、デッキプレートなどの床材を支持します。

・二方向に持ち出す場合
図④の様に、柱に片持ち梁を増やし片持ち梁先端へさらに片持ち梁を溶接します。

※片持ち梁には、受梁が必要です。
※持ち出し長さの目安は、2m程度になります。

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●鉄筋コンクリート造の場合
・一方向に持ち出す場合
図⑤の様に、持ち出し長さが2m以下ですと、片持ちスラブだけも可能になります。

・二方向に持ち出す場合
図⑥の様に、出隅部の片持ちスラブを支えるために、柱に片持ち梁が必要です。
この時も、持ち出し長さは2m以下とお考え下さい。

※片持ち梁には、受梁が必要です。
※どちらの場合でも、2m超となる際は片持ち梁などを設け安全性に配慮します。
(鉄骨造と同様の形状になります)
※仮に、2m超を片持ちスラブだけで作る場合は、スラブが厚くなります。

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ここまで見てきたように、片持ち部は通常の床を作るよりも梁材が必要になります。
また、片持ち長さが2m以上となりますと、上下方向の揺れを考慮して
荷重の割り増しが必要になります。
 
片持ち床周辺の懐には、十分な余裕の確保をお願いいたします。

構造コラム第2回「建物規模と設計ルート」

今回は、建物規模と設計ルートについてです。
まずは、建物規模と採用できる設計ルートの区分になります。

 

○ルート1
強度型:建物を変形しにくくして、地震に対して耐える ≒ 満員電車の中で踏ん張るイメージ

木造
建物高さ≦13m,軒の高さ≦9m

S造
建物高さ≦13m,軒の高さ≦9m,
+柱スパン≦6m,階数≦3,延べ面積≦500㎡ → ルート1ー1
+柱スパン≦12m,階数≦2,面積≦500㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15) → ルート1ー2
+柱スパン≦12m,階数≦1,面積≦3000㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15) → ルート1ー2

RC造(*1)
建物高さ≦20m,規定量の耐震壁(*2)がある

 

○ルート2
S造
建物高さ≦31m,塔状比≦4,平面・立面的バランスが良い(偏心率≦0.15・剛性率≧0.6)

RC造(*1)
建物高さ≦20m,塔状比≦4,平面・立面的バランスが良い(偏心率≦0.15・剛性率≧0.6)
規定量の耐震壁(*2)がある(耐震壁の量により、ルート2-1とルート2-2の2つがあります)

 

○ルート3(保有水平耐力計算)
靱性型:建物の変形能力を大きくして地震力を受け流す ≒ 満員電車の中で周囲と一緒に揺られるイメージ

S造・RC造(*1)
建物高さ≦60m

 

*1:RC造について
柱梁でフレームを組むラーメン架構について記載しています。

*2:規定量の耐震壁について
採用する設計ルートにより必要となる耐震壁の規定量は違います。
耐震壁の必要壁量は、多いほうから順に ルート1>ルート2-1>ルート2-2 となります。

 

各材料の特徴や想定される建物用途を勘案して、採用できる設計ルートが設定されています。
その設計ルートにより設計期間や躯体数量、確認取得までの期間も変わってきます。

また、建物規模ではルート1が採用できる場合でも
プラン等によっては上位の設計方法であるルート2やルート3を採用する場合もあります。

今回の建物規模と設計ルートは、これから計画する上での参考材料としていただけたら幸いです。