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構造コラム第5回「固有周期と共振現象」

2016/10/03構造設計

この世に存在する全ての建物には、固有周期というものが存在します。

固有周期とは、建物が片側に揺れて、反対側にも揺れた後に元の位置に戻るまでの時間のことです。
固有周期は建物が重いと長くなり、堅くなると短くなるという性質を持っています。

一方で、地震の揺れは不規則です。
しかし、ある特定の固有周期を持つ建物に対して、突出して大きな被害をもたらす性質があることがわかってきました。
一口に地震と言っても、その性質はいろいろです。
固有周期の短い建物で被害が大きくなる周期の地震もあれば、固有周期の長い建物に対しても然りです。

この地震の持つ周期と、建物の固有周期が一致すると揺れが極めて大きくなってしまいます。

ブランコをイメージしてみて下さい。
ブランコの揺れるリズムに合わせて後ろから押されると、大きく揺れますね。あれと同じ現象です。

これを「共振現象」と言います。

建物の固有周期は、ある程度想定がつきます。
しかしながら、地震の周期成分なんてどうやって測ればいいのでしょうか。

ここで便利なグラフをご紹介します。

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まずある固有周期を持つ建物を、特定の地震で揺らしてみましょう。

揺れ始めから揺れがおさまるまでの間で、最も大きく揺れた値をマークします。

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次に、いろいろな建物の固有周期に対して、同じ地震で揺らし、それぞれ最も大きく揺れた値をマークします。
これをグラフにするとこうなります。

これをみれば、この地震はどの固有周期の建物が大きく揺れるか、一目瞭然ですね。
このグラフを「応答スペクトル」と呼びます。

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実際の地震の応答スペクトルを見てみましょう。

これは2016年4月の熊本地震(前震)の応答スペクトルです。

熊本地震では、木造の被害が顕著でした。
このグラフを見ると、固有周期1~1.3秒あたりの建物の揺れが大きくなっていますね。

ちなみに木造の固有周期は概ね0.1~0.5秒くらいですから、共振したとは言い難いです。
ではなぜこれだけ木造に大きな被害が出たのでしょうか。

実は揺れている間に、筋かいや金物が壊れてしまうことによって、建物の固有周期が長くなってしまったのです。
この固有周期を「等価周期」と言います。木造の等価周期は1~1.5秒と言われています。

この等価周期で共振してしまうと、被害がとても大きくなってしまいます。

ところで、この木造に大きな被害をもたらす1~1.5秒の周期の地震波を「キラーパルス」と呼びます。
最近報道機関でも取り上げられるようになってきました。名前はカッコイイですが、本当に怖い現象です。

現行の構造計算でも、この応答スペクトルの考えを計算に取り込んでいますが、あれだけ大きな被害が出てしまいました。
これだけ技術が発達しても、自然に対しては「まだまだ」ということですね。

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