こんにちは!擁壁構造計算書のECサイト「StructureBank-工作物」の建築構造用語集 編集部です。今回は「高さ方向の地震層せん断係数の分布係数」とは何かを解説します。
建築許可申請の際に計算書の提出が必要な場合、計算ルートは何を選ぶべきか?で悩むことがあります。
建物の規模で一律的にルート決めることも可能なのですが、実は選ぶルートによって経済性も変わるのです。
建て主の方との打ち合わせでプランが変わる場合、規模自体の増減はなくても、柱間の距離が変わると計算ルートが変わってしまい、申請にかかる時間やコストが増えてしまう場合もあります。
設計を進めていく中で、規模そのものが変更してしまうのは避けたいですね。
今回はその計算ルートを左右する規模についてご紹介していきます。
ルートによって確認申請の時間が変わる
ルートというのは建築設計をするにあたり、その建物に必要な構造計算ルートのことを指します。
基本的に建物の規模が大きいものや、形状が複雑であるほどルートは1、2、3と順番に上がっていき、
その申請にかかる時間は非常に長くなっていきます。
例えば、ルート1に該当する建築物であれば規模や形状もシンプルなため、申請の際の審査にかかる時間も比較的長くはないのですが、
ルート3に該当する建築物の場合、審査機関の内容確認に加えて、適合性判定機関による内容確認(通称・『適判』)も行なわれるため、確認申請許可証の発行までの時間が長引いてしまいます。
ルート1は強度型の設計です。
わかりやすく言うと、建物を変形しにくくして、地震に対して耐える ≒ 満員電車の中で踏ん張るイメージ です!
建物高さ≦13m かつ軒の高さ≦9m
建物高さ≦13m,軒の高さ≦9m,かつ…
+柱スパン≦6m,階数≦3,延べ面積≦500㎡
→ ルート1ー1
+柱スパン≦12m,階数≦2,面積≦500㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15)
→ ルート1ー2
+柱スパン≦12m,階数≦1,面積≦3000㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15)
→ ルート1ー2
建物高さ≦20m,規定量の耐震壁(*2)がある
建物高さ≦31m,塔状比≦4,平面・立面的バランスが良い(偏心率≦0.15・剛性率≧0.6)
建物高さ≦20m,塔状比≦4,平面・立面的バランスが良い(偏心率≦0.15・剛性率≧0.6)
規定量の耐震壁(*2)がある(耐震壁の量により、ルート2-1とルート2-2の2つがあります)
ルート3は靱性型の設計です。
少し難しい計算ですが、建物の変形能力を大きくして地震力を受け流す ≒ 満員電車の中で周囲と一緒に揺られるイメージ です!
建物高さ≦60m
*1:RC造について
柱梁でフレームを組むラーメン架構について記載しています。
*2:規定量の耐震壁について
採用する設計ルートにより必要となる耐震壁の規定量は違います。
耐震壁の必要壁量は、多いほうから順に ルート1>ルート2-1>ルート2-2 となります。
計算ルートを選ぶポイント
建物規模によってルート1に該当する建築物であっても、構造上の留意点などを勘案すれば、より上位な計算方法であるルート2やルート3を採用すべき…という判断となる場合もあります。
また、例えばルート2に該当する建築物であっても、ルート3で詳細な計算を行った場合に、鉄骨部材などの断面を小さく出来そうと考えられる場合は、あえてルート3の計算を行うケースもあります。
この辺りは申請時間や申請料などと深く関わってくるため、施主・意匠設計者・構造設計者がそれぞれ何を重要視するか?をしっかり理解し合うことが大事です。
StructureBank-工作物について
『Structure Bank工作物』は構造計算が必要とされない擁壁、塀、階段部材などの工作物に対する構造計算書や図面を、オリジナルのECサイトを通じて提供するものです。
サイトには安全性を確認した構造体の構造計算書類が格納されています。
以下の工作物の構造図と構造計算書をサイト上で購入することができます。
ユーザーは構造設計事務所に依頼することなく、必要な構造計算書類を購入することができます。
・高さ2mまでのL型擁壁(1階~3階建ての木造住宅を設置可能)
・高さ2mまでの逆T型擁壁(平屋建ての木造住宅を設置可能)
・高さ2mまでのコンクリート塀
・鉄骨階段の踏板
利用できる構造計算書類の総数は120点を超えており、様々な状況下における工作物のパターンを網羅しています。
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