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構造コラム第32回「木材の規格と等級 その1-知らないと話にならない集成材の規格と等級-」

2019/03/11構造設計

今日、私たちは設計において特に意識することなく、規格化された製材品を使用しています。 しかし、その規格がどのような区分となっているのかについては、あまり知られていません。 今回と次回は、木材の規格と等級についてご紹介します。 現在、市場に流通している木材は、『農林物資の規格化および品質表示に関する法律(JAS法)』に基づき、JASで定める標準寸法に従って製材されています。 構造上での性能を評価する場合は、『集成材』であるか、『製材』であるかの大きく二つに分類することができます。 今回は、『集成材』についてご紹介します。 集成材は、人工乾燥でよく乾燥させて欠点を取り除いたラミナ板を木目に沿って、長さ・幅・厚さの方向に接着剤で集成接着した建築材料を指します。 近年では、機械プレカットの普及により需要が一挙に増加しています。 規格としては、下記の【4つの特徴】に従って分類されています。

①断面の大きさ

断面の大きさにより、大断面・中断面・小断面の3つに区分されます。 ●大断面:短辺が15㎝以上、断面積が300㎝2以上のもの ●中断面:短辺が7.5cm以上、長辺が15㎝以上のものであって大断面集成材以外のもの ●小断面:短辺が7.5cm以上、長辺が15㎝未満のもの

②ラミナ板の構成

集成材とは、ラミナ板を重ねたものですが、その板をどのように重ねるかで品質が異なってきます。 ● 【同一等級構成集成材】 : 主に柱として利用。 同じ品質のラミナを重ねたもの。 ●【異等級構成集成材】: 主に梁として利用。 外側の層ほど強度の強いラミナ板を重ねたもの。 また、構成の仕方により【対称構成・非対称構成・特殊構成】に区分。

③E○○-F○○

強度等級として、【E(ヤング係数)】と【F(曲げ強さ)】で区分して表記します。 一般にヤング係数Eと曲げ強さFは相関関係にあります。 ●例:E105-F300 →一般にEが大きいほど変形しにくく、Fが大きいほど強度が大きい。

④使用環境

集成材の使用する環境に応じて接着剤の要求性能の程度を示す【使用環境A、 B、 C】の区分があります ●使用環境A:屋外での利用。高度な耐水性・耐候性・耐熱性が要求される環境 ●使用環境B:屋内での利用。構造物の火災時において高度な接着性能が要求される環境 ●使用環境C:屋内での利用。 いかがでしたでしょうか。 一口に集成材といっても、断面の大きさ・ラミナ板の構成・強度・使用環境により様々な規格があります。 もちろん要求性能が高ければ高いほど、高価な材料となります。 私たち構造設計者は、材料に対する深い理解に基づき、建物に必要な性能を見極め、材料を選択していく必要があります。 参考URL:日本集成材工業協同組合<http://www.syuseizai.com/home

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