こんにちは!擁壁構造計算書のECサイト「StructureBank-工作物」の建築構造用語集 編集部です。今回は「高さ方向の地震層せん断係数の分布係数」とは何かを解説します。
建築物に作用する荷重は「荷重の方向」及び「荷重がかかっている期間」によって分類されています。
「荷重の方向」は鉛直荷重と水平荷重、「荷重がかかっている期間」には長期荷重と短期荷重があります。
今回は鉛直荷重の一種である「積載荷重」についてカンタンに解説します。
積載荷重の定義
建築基準法では第20条において以下のように記載されています。
基準法では「積載荷重」という言葉で表現されているものの、その意味については言及されていません。
それでは建築基準法施行令ではどのように記載されているのでしょうか。
定義というほどではないですが、「積載荷重」は建築物に作用する荷重及び外力の一つであるということがわかります。
また、第八十五条では「当該建築物の実況に応じて計算しなければならない」としながらも、代表的な積載荷重が室ごとに定められています。

積載荷重の考え方
建築基準法では何ともよくわからないので、建築基準法を補填する解説書である「建築物の構造関係技術基準解説書」を確認してみましょう。
積載荷重は、固定荷重に含まれない、人間や移動がそれほど困難でない家具・調度・物品等の荷重をいう。
積載荷重は過小評価しないよう留意するとともに、実況に応じて設定することを原則とする
なんともわかりやすいですね。
積載荷重の扱いで注意しないといけないのは、構造計算する目的によって荷重の大きさが変わるということです。
- 床
- 大ばり、柱又は基礎
- 地震力
例えば「住宅の居室」の場合
室の種類 | 床(N/㎡) | 大ばり、柱又は基礎(N/㎡) | 地震力(N/㎡) |
---|---|---|---|
住宅の居室 | 1800 | 1300 | 600 |
床材(RCの場合のスラブ、鉄骨造の場合のデッキスラブなど)を設計する場合には最も重たい1800N/㎡を採用します。
梁や柱などのフレームを検討する場合は、1300N/㎡を採用します。
地震力を算定する場合は600N/㎡です。
床を検討する時に間違えて600N/㎡を採用しないようにしないといけません。
また、床用に1800N/㎡を採用できるからといって、室全体、建物全体に1800N/㎡の重量物を載荷してもよいかというとそういうことでもありません。地震時には600N/㎡しか見込んでいないからです。
倉庫の積載荷重が床用・フレーム用・地震力用に関係なく一定なのはそういう理由で、満載に重量がかかっている時も十分想定されるからです。
積載荷重は重く見ておけば安全側のようにも感じますが、余裕を見すぎることも時には危険側に働くことがあります。
代表的なものは実際には同じフロアで荷重の偏りがあるはずなのに、余裕を見てすべてを重たい荷重にした場合などです。
その場合、本当は偏芯しているのに偏心していない扱いになってしまい、危険側になってしまうことがあります。
構造設計者が積載荷重を過不足なく適切に把握するためには、部屋の用途を構造設計者に早めに伝えることが大事です。
今回は積載荷重について解説しました。
↓↓固定荷重についてはコチラが参考になります。
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