「顧客が自らネットで住宅設計をする」のが当然の時代がくる

構造設計一級建築士の@mituru0622です!

先日、住宅メーカー業界の設計の常識を揺るがすニュースをご覧になったでしょうか。

大和ハウス工業は11月から、顧客がインターネット上で戸建て住宅のデザインや設備などを決め、概算価格を示す商品を販売する。展示場や紙のカタログをなくして販売コストを削り、価格を2000万~2500万円と同社の平均購入額より3~5割安くする。

以前2000年代に、こういった住宅市場の通販モデルへの取り組みがブームになったのを覚えているでしょうか?
それまでの一対一の対面販売による方式の利益率を上げるために、各社が新たな住宅販売の手法として、オンラインでの販売を始めたことがありました。(確か当時はAmazonや楽天市場がオンラインショッピングを席巻していました)
しかし時代よりも早過ぎたというか、オンラインショップそのものがまだ馴染みが薄かったのか、定着せずにいつの間にか消失してしまった印象です。

そして再び登場した住宅のオンライン販売。これは時代が追いついたということなのでしょうか?

「顧客自らが設計する」というのがポイント

以前のネットで住宅販売と大きく異なるのが、「顧客自らが設計する」という点です。
これによって大きく改善されるのは「設計フローのコストカット」です。

本来ハウスメーカーや工務店というのは、基本計画に始まり、施主との打ち合わせや関係業者との調整・連絡に大きな時間・金銭的なコストを占めていました。
最も設計らしいといえばらしいワークフローなのですが、特に近年は必ずしもそういった濃度の住宅設計を望む顧客ばかりとは限りません。
「モノよりコトの時代」と呼ばれるように、住宅への需要も多様化しています。
半オーダーメイドのように、間取りを選ぶように決めていきたいと望まれる建て主が実は増えているのです。

「ネットで住宅設計」を実現化することで、こういった需要を狙い打つことができるようになるわけですね。
そして、ハウスメーカー側にとっても設計の最も骨の折れるフローを省略できるため、コストメリットが非常に大きくなるのです。

どこまで設計できるのか?

そこで、気になるのは「いったい顧客サイドでの設計でどこまで出来るのか?」ですよね。
今回のこの事例の場合は、数十のパターン化されたベースの間取りに対し、さらに仕上げなどのデザインパターンを選択して組み合わせるといったところまで進めることができるというものです。
それによって概算の工費見積を顧客サイドで算出することができるため、営業担当者と顧客とが進めていく基本計画段階で、ある程度の予算感を建て主に持ってもらう効果は非常に期待できそうです。

なぜ今「ネットで設計」なのか

では、なぜ改めて住宅営業フローに「ネットで設計」という視点が向けられたのでしょうか?
前述したメリットというのは「ある程度の予算感を建て主に持ってもらう効果がある」という点でした。

ここで現在の住宅市場を取り巻く状況について考えてみましょう。

人口減少が進むという見込みがある中で、当然新築需要は伸び悩むことは避けられません。
また、一方で国策としての働き方改革にも取り組みが始まっています。
労働力の生産性の向上は、これから全ての業態において不可欠な課題となります。

これらの状況を考えてみると、目下のハウスメーカーやビルダーにとっての喫緊の方針は「新築物件については効率よく進めていき、新たな2の矢、3の矢を用意していく準備にマンパワーを割く」ことに他なりません。
そのために「見積りや間取りイメージの整理など、これまで業務領域として担っていたことの一部を、顧客サイドで行えることは楽しみながらお任せする」という方針のもと、新たな「ネットで設計」の取り組みにたどり着いたのではないでしょうか。

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